多忙な人の経理術
小さな会社の現金の管理方法 -なるべく楽に!正確に。
「現金が合わない!」
「帳簿上は300万円も現金があるのに、実際は1万円しかない!」
決算のときに、こんな声をよく聞きます。
皆さまの会社では、現金をどのように管理していますか?
現金の管理は会社によってさまざまですが、大体以下のパターンになるようです。
①入出金のときに伝票を作成する方法
②入出金の領収書をファイルや封筒などにためていく方法
③現金出納帳に記録する方法 オススメ
④現金の入出金時に会計ソフトに入力する方法 オススメ
⑤管理しない
私たちは会社の規模を問わず、③か④での管理をおすすめしています。
①②⑤をおすすめしない理由、③④をおすすめする理由をそれぞれご説明します。
まずは⑤管理しない
こちらの方法は絶対におすすめできません。もしも事業用に現金を使っているのにもかかわらず、全く管理をしていない方がいらっしゃったら、すぐに変更した方がよいかと思います。
現金を使っているのに、現金を全く管理しない場合、現金の出入りが不明確なため、収入も経費も正確に把握することができません。使ったお金が経費として認めてもらえず、税金が増えてしまい、後になって困るのは会社です。税金が高くなるだけならまだよいですが、収入としてもらったお金を把握できていない場合、最悪、税務調査で「申告漏れ」「脱税」を指摘され、悪質な場合には懲役刑や罰金刑が適用されることもあります。
青色申告の承認を受けている会社の場合、帳簿書類不備のため、青色申告の承認の取消となる可能性があります。
次に②入出金の領収書をファイルや封筒にためていく方法
銀行からお金を引き出して、使ったときの領収書を封筒やファイルにガサッと入れておき、決算のときなどに会計事務所に渡すスタイルで、忙しい社長さんや経理担当者のいない会社によくあるスタイルです。領収書類をガサッとまとめておく、という保管方法自体は問題ありませんが、現金管理という点からはあまりおすすめできません。
多忙な社長様などの場合このような方法になるのもしょうがないとも思いますが、冒頭で述べたような「残高が合わない!」という事態に発展することが多いです。
実際の残高と、帳簿の残高が合わなくなってしまった場合、差額を「現金過不足」として会計処理をして、残高を合わせることがありますが、この現金過不足について日常業務の範囲内でしたら経費とすることができることもありますが、そうでない場合は経費とすることができないと考えておいた方が無難です。
現金を使って残高が減ってしまったのにもかかわらず、税金を多く納めなければいけなくなりますので、会社の収益性を損なう事態となります。せっかくがんばって稼いだ利益が水の泡となってしまいますので、避けたい事態です。
①入出金のときに伝票を作成する方法
古くからある会社さんに多いのがこのスタイルです。入金や出金の際に伝票をつけて、会計事務所に伝票を渡します。入出金伝票の漏れや重複があったりして、いつのまにか帳簿上の現金残高と実際の現金残高が合わなくなっていきます。
こちらも積極的にはお勧めしませんが、現金を管理する人と記帳をする人が連携することで、残高が合わないなどの問題は防ぐことができます。
現金伝票を作成する人は、定期的に現金の実際有り高をカウントして、会計事務所や、記帳担当者に報告します。記帳担当者は残高と突合して合わなかったら、いくら合わないのか現金管理者と確認を行えば、現金を合わせることができます。
残高確認の間隔が小さければ小さいほど、合わなかったときに、いつ何が合ってないかを確認するのが楽になります。
こちら経理部オススメ
③④現金出納帳or会計ソフトで管理する方法
最も一般的で、最も管理しやすいのがこの方法です。
ですが、お忙しい方、人手の足りない会社さん、面倒くさがりやの方にとってはとてもつらく苦しい方法です。
毎日現金の入出金記録をノートやエクセル、会計ソフトなどに記録していきます。残高確認をたまに行うことによって、きちんと残高の把握ができます。簡単な作業ですが、継続するとなると、専任の担当者や時間的余裕のある人ではないと、どんどん億劫になっていく作業です。
少しでも手間を減らすためには以下の考え方が有効です。
- ●振込やクレジットカードを活用してなるべく現金を使わない
- ●記録方法はエクセル・ノート・会計ソフト・スマホアプリ…なんでもよいので、続けられそうで、楽な方法を選ぶ
毎日なんてやってられない!そんな方には…
それでも業種的な問題で現金管理が煩雑になるケース、会社に現金管理をさせる適切な人員がいないケースなど、いろいろな問題で現金管理がうまくできないことがあるかと思います。そんな時は是非一度こちら経理部にご相談ください。
会社に常駐して現金のチェックをするのは難しいですが、現金の帳簿付けや領収書類のファイリングなどは我々でも行うことができます。現金有り高のチェックと領収書類等のファイリングの手間だけで、現金管理を正確におこなう手助けができます。