会社を設立して起業する場合、まず何をしなければならないでしょうか？

今は資本金1円でも株式会社を作れます。

会社の住所として登記ができる安価なバーチャルオフィスもあるので、会社を設立する事自体はすごく簡単です。

 

会社名と事業をする場所、資本金を決めて会社の設立登記をし、請求書や領収書のフォーム、名刺などの印刷物も準備し、さあ、商売を始めよう、という時、忘れてはいけないのが法人名義で銀行口座を開設することです。

 

銀行口座がなければ支払いもできなければ、お得意先からお金を払ってもらうこともできません。

銀行口座なんて、その辺の銀行の窓口に行けば直ぐつくれるだろう、と思う人が多いかもしれませんが、実は起業して最初に躓くのが、実は銀行口座を開設することなのです。

 

嘘だと思うなら、新宿か六本木のシェアオフィスに資本金1円で会社を作り、会社の近所の赤や緑や青の都市銀行に口座を作りに行ってみてください。

窓口のお姉さんは丁寧に必要書類を教えてくれるでしょうし、書類を揃えて持っていけば、にこやかに笑って受取ってくれるでしょう。

しかし、おそらく十中八九、何日も待たされた挙句、審査の結果、口座の開設はできませんでした、と連絡がくるのです。

理由を問合わせても壊れたレコードのように審査の結果で、と繰り返すだけで、教えてくれることはありません。

 

最近は会社の設立が容易になりすぎたこともあり、ペーパーカンパニーのような実態のない法人の銀行口座を利用してマネーロンダリングや詐欺などの不正が行われるおそれがあるため、銀行も簡単には口座を開設してくれないのです。

 

では、どのようにすれば設立したばかりの会社は銀行口座を作れるのでしょうか。

あくまで、こうすれば作り易い、というレベルですが、経験則をお話しします。

今の時代、住所で検索するとGoogle Map でそこがどのような所か居ながらにしてわかります。

住所がバーチャルオフィスの場合、実態がないとみなされる可能性が高く、銀行の審査を通過するのはかなり難しいと言えます。

一番望ましいのは、きちんと賃貸借契約を結んで事務所を借りることですが、起業したてでそのような経費をかけられないなら、バーチャルオフィスよりは自宅を住所にする方が経験上審査は通り易いです。

起業する際、都心の一等地に住所があると信用力が高くなると思いがちですが、こと銀行に関しては、千葉や埼玉の住宅地であっても、代表者の自宅が会社の住所地になっていたほうが、都心のバーチャルオフィスに住所がある会社よりも口座の開設がし易い傾向にあります。

銀行口座を不正利用されない安心感が高いからだと思われます。

 

また、今の時代資本金なんて重要じゃない、と言う人も多いですが、資本金も大きい方が銀行の審査は通り易いので、少なくとも1円とか1万円の資本金は止めた方がいいでしょう。

いくらならいいか、というのはなかなか難しいですが、かつての有限会社の最低資本金である300万円くらいはあったほうが良いと思います。

 

最寄りの銀行の支店を紹介してくれるような知合いがいれば、その人に紹介を頼むのが最も確実です。

しかし、銀行員の親戚や友人がいたとしても、都合よくその銀行の支店が近くにあるとはかぎりません。

その場合、司法書士や税理士は事務所の最寄りの銀行とつながりがある場合が多いので、会社設立の手続きを依頼した司法書士や税務を頼むことにしている税理士に銀行を紹介してもらえないか聞いてみるといいでしょう。

 

紹介があれば、かなりの確率で銀行口座を開設してもらえますが、その場合も会社の体裁はある程度整えた方が良いのは言うまでもありません。

 

どうせ口座を作るなら名の通った三菱UFJ銀行や三井住友銀行がいい、と思う人が多いと思います。

しかし、メガバンク、地方銀行、信用金庫（銀行ではないですが、利用者として機能は同じなので銀行に含めています）を比べると、明らかに口座の作り易さは規模に反比例します。

つまり、メガバンク→地方銀行→信用金庫の順に作り易いです。
昔は規模に関係なく、銀行は預金を集めるのに奔走していましたが、金余りの昨今、メガバンクは残高の少ない口座や動きの少ない口座をむしろ減らそうとしています。

大企業との取引や海外での事業を収益源にしているメガバンクは零細企業の口座など、あまり作らせたくないのが本音なのです。

 

その点でいくと信用金庫などは個人事業主や中小企業との取引が中心ですので、経験則から見てもメガバンクよりはずっと審査は通り易いと言えます。

将来的に口座を作るだけでなく、融資を受けたいと思っているなら、なおのこと信用金庫や地銀などに口座を開設したほうが良いでしょう。

メガバンクは起業したばかりの零細企業に対して親身になって相談に乗ってくれたりはしません。

 

最近はリアルな店舗を持たないネットバンクという存在もあります。

これらの銀行は登場してまだ日が浅く預金量も少ないため、設立したばかりの零細企業であっても口座を増やしたいと思っているようです。

他で審査が通らなくても、ネットバンクで口座を作れた、という例は多いです。

インターネットバンキングのシステムが使い勝手良い、という利点もあります。

正直、信用金庫や地銀のシステムはメガバンクやネットバンクのシステムに比べるとかなり使い勝手が悪いです。

融資を受ける予定がないなら、ネットバンクは有力な選択肢となるでしょう。

 

また法人取引となるとあまり頭にない人も多いと思いますが、ゆうちょ銀行で法人口座を作るという手もあります。

融資を受けることはできませんが、一通りの事はできますし、経験上、他と比べて比較的審査が通り易い銀行です。

 

 

銀行口座が作れない、という意外な躓きを避けるために、ぜひ上記のアドバイスを試してみてください。