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2021年の年末調整の変更点

12月に入り、経理担当者の方にとっての一大イベント、年末調整の時期となりました。

ここでは令和3年度税制改正による2021年の年末調整の変更点をまとめます。

 

2020年の年末調整は、令和2年度税制改正で基礎控除や給与所得控除などの見直しが行われたことで申告書の様式が大幅に変更され、業務にも大きく影響しました。

2021年の年末調整では、昨年のような大幅な変更はありませんが、3つの変更点が挙げられます。

 

① 税務関係書類の押印義務の見直し

② 年末調整を電子化するための事前申請の廃止

③ 住宅ローン控除の特例の見直し(要件緩和、期間延長)

※③は今年の年末調整には直接影響しませんが、該当する従業員がいる場合は注意を促す必要があります。

 

①税務関係書類の押印義務の見直し
行政のデジタル化推進の流れに沿って、

今年の年末調整から従業員より提出を受ける下記の書類について、押印が不要となります。

 

《押印不要となった書類》

・給与所得者の扶養控除等申告書

・従たる給与についての扶養控除等申告書

・給与所得者の配偶者控除等申告書

・給与所得者の基礎控除申告書

・給与所得者の保険料控除申告書

・給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書

・所得金額調整控除申告書

・退職所得の受給に関する申告書

・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

 

②年末調整を電子化するための事前申請の廃止

これまでは、年末調整を電子化するために、事前に税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、

承認を受ける必要がありました。しかし、2021年4月1日以降に年末調整申告書を従業員から電子データで回収するケースからは、この承認申請書の提出は不要となりました。

 

ただし、電子データで回収する場合は、次の2つの措置を講じる必要があります。

 

1.電磁的方法による提供を受けるために必要な措置

従業員から電子データの提供を受けるための方法を定めておくことで、具体的には、「次のいずれかの方法を定めておく必要がある」とされています。

 

・勤務先にインターネット経由のメール等で送信する(電子署名またはパスワード設定が必要)

・USBメモリ等に保存して勤務先に提供する(電子署名またはパスワード設定が必要)

・(社内LANなどで)勤務先と作成者である従業員のみアクセスが可能な領域に年末調整申告書データを保存する

・社内LANにログインし、メール等で送信する

 

2.電磁的方法により提供する者の氏名を明らかにするために必要な措置

提出された電子データが従業員本人から提出されたことが確認できるよう担保することで、次のいずれかの措置が必要となります。

 

・従業員が申告書情報に電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書を申告書情報と併せて勤務先に送信する

 ※マイナンバーカードに記録された電子署名および電子証明書を利用できます。

・従業員が勤務先から通知を受けたIDおよびパスワードを用いて、勤務先に申告書情報を送信する

 ※年末調整申告書データそのものにパスワードを付す場合のほか、社内 LAN 等に従業員個別のIDとパスワードでログインし、その従業員のみに割り当てられた電子メールアドレスから送信する場合等も含まれます。

 

③住宅ローン控除の特例の見直し(要件緩和、期間延長)
住宅ローン控除の特例について、床面積の要件や所得要件等を見直したうえで、控除期間13年の措置を延長するというものです。

適用対象となるのは、以下の契約期限および入居期限を満たす場合となります。

 

《契約期間》

注文住宅 2020年10月~2021年9月

分譲住宅等 2020年12月~2021年11月

《入居期間》

2021年1月1日~2022年12月31日

 

また、面積要件が「合計所得金額1,000万円以下」の方についてのみ、50㎡から40㎡に緩和されます。

 

※2021年の年末調整から住宅ローン控除を受ける従業員については、初年度は確定申告のため、対応が必要となることはありませんが、2年目以降は年末調整での対応となるので、該当者の確認をしておくようにしましょう。

 

 

これまでの年末調整業務は、手作業や手入力も多く、業務の効率化が難しい面がありましたが、

事前承認なしで必要とする情報を電子データで回収できるようになり、電子化へのハードルは下がっていますし、今後この流れは加速していくと思われます。

煩雑な年末調整業務を簡略化するために、電子化を検討してみるのもいいかもしれませんね。

 

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